日刊ゲンダイ注目記事ノーベル賞作家の大江健三郎氏「日本人はテレビの影響で会話中心の思考が多く、論理が弱くなっ た。その延長で、小泉首相の内容を伴わない言葉が人気を得ている 日刊ゲンダイ 景況感の改善をデカデカとトップニュースとして扱い、あたかも景気が回復したよ うなあおり立て方だ。大新聞の大見出しは「景況感改善続く」(日経)、「回復に広 がり」(読売)、「非製造業、96年来のプラス」(朝日)といった調子。「景気回 復」をPRしてきた政府の正しさを裏付けたと言わんばかりの扱い方だった。 懸念材料に触れてないわけではない。「円高、景気回復に重し」「雇用・所得まで 届かず」と問題点を取り上げているが、紙面・番組の片隅で、チョコッと扱ってただ け。まさにアリバイづくりそのものだ。 ▼ 経済指標を上向かせているのは3つの仕掛けがあるから ▼ 政府がPRする景気回復はズバリ、「つくられた回復」だ。中小零細企業の倒産・ 廃業は止まらず、失業率は5%台に高止まりが続き、地方経済は瀕死の状態だ。 そんな状況でも景気指標が上向いているのは、(1)膨大な財政赤字(2)金融の 量的緩和(3)円安誘導の巨額介入という3つの仕掛けがあるからだ。 「小泉首相は『余計なことはしない』と言いながら、景気を上向けるために見えない ところで巨額資金を使っています。景気の落ち込みを防ぐための公共事業バラマキは 相変わらずで、そのため40兆円近い国債を発行しないと予算も組めない状態です。 また、金融の量的緩和も長期化している。金融機関に積ませる日銀の当座預金残高は、 『3月危機』が懸念された昨年春以上の30兆~35兆円にしている。市中をカネで じゃぶじゃぶにして、金利上昇、円高、株価下落を抑え込んでいる。それに財務省に よる為替市場への巨額介入。この1年間で32兆円を超えるドルを買って米国景気を 支えてきた。自動車・電機などの対米輸出が落ち込めば、景気失速は避けられないか らで、輸出産業への補助金と言っていい。この3つの景気維持策に、バブル景気にわ く中国への輸出が加わり、景気指標を押し上げているのです」(民間シンクタンクの 金融アナリスト) だが、金融緩和の効果は薄まる一方。760兆円に膨らんだ財政赤字は放置できな いレベルに達している。また、外為特会の損失は15兆円を超えている。この3つの 仕掛けはいつまでも続けられるものではない。中国、米国の景気が少しおかしくなれ ば、つくられた景気は一発で瓦解する。 今月26日、ちょっとびっくりするような経済指標の発表があった。サラリーマン 世帯の消費支出で、2月は前年同月比6.9%増。12年ぶりの大幅アップというの である。 そういえば03年の家計金融資産残高も3年ぶりに増加した。日本経済新聞は「日 本経済復活の序章」なんて連載を始めているし、経済専門誌「エコノミスト」は「デ フレからインフレへの転換」という気が早い特集記事を組んでいた。 しかし、だったら本当に景気回復かというと、どうも怪しい。読売の世論調査では 84%が「景気回復の実感がない」と回答しているし、きのう(30日)はギョッと する数字が発表された。設備投資に直結する鉱工業生産指数が、2月は前月比マイナ ス3.7%で、01年1月以来、3年ぶりの大幅ダウンなのである。 専門家の見方もさまざまだ。平均株価予想も「秋口に1万6000円」(みずほ証 券・作本覚氏)とか「年央1万4000円」(内藤証券・浅井陽造氏)という強気エ コノミストがいるかと思えば、「年末に9500円」(みずほ証券・上野泰也氏)な んて慎重派もいる。これじゃあ、庶民は戸惑うばかりだ。 ◆ 「デフレ克服」で浮かれる大マスコミに真っ向反論の2冊 ◆ そんななか、巷では刺激的なタイトルの本が売れている。 元三菱総研理事で明海大経済学部教授の高橋乗宣氏が書いた「日本の恐ろしい未来、 金融資産が狙われている」(ビジネス社)とフォーブス誌アジア太平洋局長のベンジ ャミン・フルフォード氏が書いた「泥棒国家の完成」(光文社)の2冊である。 いずれも、大新聞・TVが浮かれる「景気回復論」に真っ向から疑問を投げかけた 内容だ。高橋乗宣氏があらためて、こう言う。 「確かに各種経済指標は良くなっていて、7割くらいの確率で景気回復と言ってもい いと思う。でも、この景気回復は、みんながハッピーになるわけではないんです。米 国経済は減税効果が薄れる年後半には息切れする。中国経済は上昇気流だが、物価が 安い中国相手では仕事が増えてもそんなには儲からない。企業は引き続き、リストラ などのコストカットの手綱を緩めるわけにはいかず、失業率や所得の減少は改善しな いのです。好況企業が牽引車になり、末端まで景気回復が浸透する従来型のスタイル とは違って、いい思いをするのは勝ち組企業だけ。下請けや負け組は切り捨てられた ままでしょう」 この本によると、その他にも日本経済は地雷だらけだ。政府が30兆円も為替介入 したのに、あっという間に105円に戻ったことでも分かるように円高懸念がくすぶ り、「GDPデフレターのマイナス幅は大きくなっている」のも気がかり。「銀行の 不良債権問題もじつはたなざらしにされたままで抜本的な解決が行われていない」と いう。 「その一方で、日銀に政府保有の米国債を買い取らせ、為替介入資金を捻出する禁じ 手が平然と行われている」と警告している。 最初から欠陥と分かっている商品を素知らぬ顔で売りつける行為を 詐欺と呼ぶ。4月から国会で審議が始まる小泉政権の年金改革は、 まさにその典型だ。 28日のテレビで「国民年金や厚生年金など年金制度の一元化が望ましい。民主 党と胸襟を開いて協議する。政府案成立後でも柔軟に協議して、協力できればいい」 と寝ぼけたことを言い出している。語るに落ちるとはこのことだ。抜本改革と胸を張 った年金改革法案の欠陥を自ら暴露したのである。 実際、今回の政府案はひど過ぎる。小泉の相談役だった塩川前財務相まで「今のま までは年金制度は2~3年でひっくり返る」と批判している。 年金官僚が5年ごとに繰り返してきた「保険料アップ、給付金ダウン」を盛り込ん だだけで、現行制度の問題点はすべて先送りのインチキ改革案なのである。 年金に対する国民の不平・不満は頂点だというのに、何一つ改善されていません。 負担と給付の世代間格差は放置されたままで、働く女性がサラリーマンの専業主婦に 抱く不公平感、官僚の保険料の流用・無駄遣いにもメスが入っていません。国民年金 加入者の4割が保険料未納という異常事態の解決策も示されていません」 2004年度予算が史上4番目のスピードで成立し、日経平均 株価は1年9カ月ぶりに1万1700円台を回復した。 市場には「デフレ脱却か」なんて期待の声が上がっていたが、庶民は喜んでいては ダメだ。景気対策を放棄している小泉政権によるデフレ加速予算で、どうしてデフレが止まるのか。日銀がジャブジャブ量的緩和を進めてゴマカしているだけだし、ちょっとよくなった株価にしても、実はこんな裏がある。 「日経新聞が今月7日、上場企業の04年3月期の業績動向を載せていましたが、驚きました。経常利益は21%増なのに売り上げはたった1.1%のプラスなんです。 売り上げが増えていないのに利益が上がっているのは人件費を主としたコストカットの結果です。モノが売れているわけでもデフレが止まったわけでもないんです」(経済評論家・広瀬嘉夫氏) 執拗なリストラ、クビ切り、下請けの中小企業イジメを代償とした“見せかけの株高”なのである。 そう言えば、サラリーマンの貯蓄もちょっと前は可処分所得の25%だったのに、今や、マイナスに転じ、貯蓄を取り崩さなければやっていけない世帯が増えている。 貯蓄ゼロ世帯は全体の2割にも及ぶのだ。 庶民の懐は寒くなる一方なのに、株価だけは上がっていく。バカみたいな世の中になってきた。 為替介入に政府が30兆円もの天文学的な大盤振る舞いをする一方で、 国の主権を持つはずの国民はどんどん貧乏になっていることだ。 日銀がこのほど発表した「03年の資金循環統計」は衝撃的だった。年間の家計の出入りを示す資産の収支が、統計開始以来初めて「赤字」になったのだ。02年は約9兆2000億円の黒字だったのに、昨年は1兆2000億円近くの赤字に転落だから、タメ息が出てくる。明海大教授の高橋乗宣氏(経済学)は、本紙コラムで「こんなことは敗戦直後の昭和21~23年頃以来約60年ぶりのこと。前代未聞である」 と指摘している。 経済ジャーナリストの荻原博子氏がこう言う。 「ベアゼロ、賃下げ、定昇廃止と、サラリーマン家庭の家計の“入り”は減る一方なのに、税金・保険料などの公的負担や教育費の固定費で“出”がどんどん増えている のですから、赤字になって当たり前です。これまで日本人はせっせと働いた分、可処分所得の16%前後を貯蓄に回す余裕がありましたが、今や預貯金を崩さなければ生活できないほど困窮している。今回の統計では、保険を解約したり、債券を売却して も追いつかなかったという実態も明らかになりました。『貯蓄ゼロ』世帯も40年ぶりに20%を突破しています」 小泉不況のシワ寄せが、見事なまでに家計を圧迫しているのだ。だが小泉内閣は発足以来、4兆円もの国民負担増を押しつけ、この先もさらに3兆円の負担増が待っている。 負担増は1世帯当たり6万円以上で、中高年サラリーマンは軽く10万円を超える。 そうなれば、ただでさえ火の車の家計は破綻寸前だ。 「預貯金ナシで家計の赤字が続いたら、今でも年間24万人もの自己破産者や、経済苦による自殺者が年間約8000人いますが、増え続けることは避けられません」(シンクタンク研究員) 「カネ持ち」と世界中からうらやましがられた日本人のカネは、一体どこへ消えたのか。 19日から3夜連続で放送されたNHKスペシャル「シリーズ年金」に登場した坂口厚労相は、そのシンボルだ。年金制度への不安、不満、不信を訴える視聴者代表を前に、平気な顔でウソ八百を並べ立てたのだ。 坂口は多くの専門家が「問題先送り」と批判する年金改革案を「50~100年先を見据えた抜本改革」と自賛。公明党が先の総選挙で公約に掲げた「年金100年プラン」を意識してか、今回の年金改革は100年たっても大丈夫と言い放ったのだ。 これは誰が考えても大ボラだ。公約の「給付率50%」を維持するため、見積もりの前提条件はすべて大甘だ。経済回復を見込み、「実質賃金上昇率2.1%」「物価上昇率1%」「運用利回り2%」をベースにしている。 元財務官で慶大教授の榊原英資氏は「役人の数字のトリック。日本の公的年金制度は、すでに破綻している」とケチョンケチョンに批判しているが本当だ。ベアゼロや定昇廃止の企業が続出する中で、毎年2%超の賃上げなどは夢物語だ。 明大教授の高木勝氏(現代経済)がこう言う。 「日本の年金制度が現行の賦課方式に移行したのは1973年で、高度成長を前提につくられたのです。当時の『経済成長率7%、運用利回り6.2%……』を前提にした制度は10年ともたず、政府は5年ごとに保険料値上げで取り繕ってきた。しかし、賃金が上がらず、保険料収入も増えないデフレ時代に突入し、崩壊同然になっている のが現状です。過去を引きずったままの制度では、50年、100年後どころか5年、10年後に破綻しますよ」 よくぞ坂口は「100年大丈夫」などとシラジラしく言えるものだ。 ◆ 何の根拠もなく出生率を上げると吹きまくる不見識 ◆ 坂口は閻魔大王に舌を抜いてもらった方がいい。年金問題をより深刻にしている出生率低下についても、トンデモ発言をしている。 政府案の「現在1.32の出生率は2050年に1.39に回復」という予測すら、「ラッキーシナリオ」(東大教授・大沢真理氏)といわれているが、坂口は少子化歯止め策も示さず、「2050年には1.50を目指したい」と大ボラを吹いたのだ。 年金制度の基礎になる出生率は、厚労省所轄の外郭団体「国立社会保障・人口研究所」(社人研)の推計値をベースにしている。ところが、別掲のグラフからも分かるように、 社人研の予測はこれまで当たったためしがないのだ。 5年ごとの推計のたびに下方修正を繰り返し、最新の02年版では、ついに1.39まで引き下げる始末。 人口リスクに敏感な民間企業やシンクタンクの間では「社人研のデータはアテにならない」が常識になっている。 大手企業の一斉回答で前半のヤマ場を越えた今年の春闘は、自動車、電機、鉄鋼で一時金の満額回答が相次いだ。ところが、手放しでは喜べない。労組側が「景気回復」業績改善」でもベースアップを要求しなかった見返りにすぎないから、リングにの ぼらずとも“勝ち”は見えていたのである。 その一方で、諸手当は次々に廃止だ。4月からソニーは住宅、扶養、家族手当など各種手当を全廃するし、松下電器も家族手当を廃止する。NECも7月から段階的に配偶者手当をなくす。分け隔てなくカネを支給する制度をやめることで、成果主義の徹底を図るのが目的という。しかし、ちょっと待ってもらいたい。成果主義は、本当に優れた制度なのか。 今、「虚妄の成果主義――日本型年功制復活のススメ」(日経BP社)という本が売れている。著者の高橋伸夫氏(東大経済学部教授)は本書で、〈金銭的報酬による動機づけは単なる迷信に過ぎない〉〈本来、人は面白いから仕事をするのだ〉と成果主義の導入を批判。〈日本型の人事システムの本質は、給料で報いるシステムではなく、次の仕事の内容で報いるシステムなのだ〉〈賃金制度は従業員が生活の不安を感じることなく、仕事に打ち込めるような環境を作り出すために設計されるべきであり、 「日本型年功制」はそのために生まれた〉と説いている。 まことに的を射た主張ではないか。人 事制度に詳しいビジネス評論家の滝田誠一郎氏が言う。 「成果主義を取り入れた企業のほとんどは年功序列、終身雇用の制度をじっくり分析したり、維持が可能かどうかを模索する前にブームに乗った。 そのため人事制度としては機能せず、社員のモラール低下も招きました。社員のやる気を引き出し、業績アップにつなげるためには、実は年功序列、終身雇用の方が優れているのです」 無条件で成果主義をありがたがるのは、もう終わりにしてもらいたい。 ◆ 日本企業が世界に誇った高い生産性は消失 ◆ だいたい成果主義を取り入れた人事制度なんて、日本人に向いているのか。93年に富士通が始めて以来、猫も杓子も成果主義で企業の6割以上が導入したが、案の定、 至るところで問題が発生して、制度の見直しが広がっている。 最大の欠点は、生産性を低下させることだ。 甲南大教授の熊沢誠氏(労使関係論)が言う。 「日本型の成果主義は、生産性に寄与しているとは思えません。日本企業が“ジャパン・アズ・ナンバーワン”といわれた世界最高の生産性を実現できたのは、組織がチームとして結束していたからです。連帯感を基に助け合い、能力を身に付けて成長していった。しかし、成果主義によって日本企業の“武器”である社員の結束力は分断さ れた。短期的な結果だけを求めて競わせる競争原理の色彩が強いからです。こうなる と、個々が成果を出しやすい慣れた分野に専念して担当以外の仕事はやらなくなって当然です」 統計データ(日刊ゲンダイ) 小泉内閣成立3年。 3年前と現在の各種データを比較 ▼株価……1万4529円⇒1万1297円 ▼就業者数……6427万人⇒6221万人 ▼中高年の経済苦自殺……6845人⇒7940人(03年) ▼サラリーマン平均給与……461万円⇒448万円 ▼家計貯蓄率……6.5%⇒6.2%(02年) ▼1世帯の平均消費支出……34万7882円⇒32万9574円 その他、完全失業率は4.8%から5%と微増に見えるが、 あまりの不況に求職活動をやめてしまった人はカウントされていない。 疑似就業者のフリーターを含めれば 実質失業率は7%を超えている。 また企業の倒産件数も昨年をピークに減少しているが、 これも経営者が不渡りを出す前に廃業するケースが増えているためだ。 つい1週間前は「1万2000円は目前」とハヤされた 平均株価が急落している。 3日続落となった12日は、1万1200円を割り、 先物取引では一時、1万1000円台を割り込んだ。 景気回復、業績アップ、デフレ終息への期待から1年8カ月ぶ りに1万1600円台まで戻した株価のメッキがはげ落ちた格好だ。 証券関係者は、「8営業日で800円を超える急上昇や、米国株下落で市場ムードが悪化しているところに、スペインの同時爆破テロが飛び出して、一気に下げ足を速めた」と分析している。 今後、株価は戻すのか。 大手証券市場アナリストは「よほど の好材料が出てこないと再上昇は難しい」とこう言う。 「2月下旬からの急上昇は、日本経済のマクロ指標の改善による 景気回復の期待感で買われてきました。 相場を引っ張ってきたのは欧米投資家で、 彼らは日本再生を先取りする形で大量の買いを入れた。 それに個人投資家や 証券会社の自己売買部門が追随。 バブル時代を上回る資金が株式市場に流れ込んだ。 しかし、過剰な期待で買われた相場は、崩れるのも早い。 テロのような悪材料が飛び出すと、期待感がたちまちすぼん でしまう。テロ懸念を上回るビッグ材料が出ないと、 株価は戻らないでしょう」 株価急落は一過性では終わりそうもないのだ。 ▼ 景気回復は80兆円為替介入が作り出した砂上の楼閣 ▼ 景気回復、デフレ脱却の動きが本物なら、株式市場がこうももろく崩れることはないはずだ。 小泉内閣は数字合わせの「GDP7%成長」(後で6.4%に下方修正) などと景気回復を喧伝している。確かに、米国と中国の好況にひっぱられた一部の輸出産業は潤っている。 政府の為替介入で利益を押し上げてもらっているのだから当然だ。 景気回復を示すような経済指数が次々に出てくるのも、巨額介入などによる底上げにすぎない。 帝京大教授の降旗節雄氏(経済学)が言う。 「小泉内閣では、不況からの脱出はあり得ません。 政権発足から約3年、景気対策は 歴代の自民党政権の無為無策と全く同じです。 100兆円を超す公共事業バラマキの 代わりに、80兆円もの為替介入で円安に誘導して、 ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の悪化を 食い止めようとしているだけです。 景気回復に必要な内需拡大策 は口先だけで、国民負担を増やして 個人消費を冷え込ます愚策をやっている。唯一の よりどころの米国の景気も、減税とゼロ金利で粉飾されたもの。 米国の景気が失速すれば日本も共倒れです」 すでに米国景気はピークアウトしている。 史上最高益を公表している大手企業の株が売られているのは、そのためだ。財務省は、04年度予算で為替介入枠をさらに6 0兆円増やし、140兆円に拡大した。 この先も米国の金利上昇を抑えるために国債 を買いまくり、米国景気の失速を食い止めようというのだ。 「小泉首相の天下り禁止令は、しょせん口先だけですよ。夏の参院選挙前に、また内閣支持率を稼ぎたいのでしょう。本気で天下りを禁止するなら、今秋の臨時国会で審議される国家公務員法改正案に首相の権限で『官僚の天下りは禁止する』と一文を盛り込むだけで事足りる。その法改正で陣頭指揮をせず、いくら口で言ってもウソです」 |